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【六義園自然観察……015】
極私的・夏休み親子六義園自然観察教室……8[カメくらべ]
●●●今日の寄り道→【花の名は……】

夕立が通り過ぎて蝉の声が戻ってくると、いくぶん涼しげな気分になるので、久し振りに母を極私的・夏休み親子六義園自然観察教室に誘い出し、まんまと成功する。
このところの日照り続きで紫陽花も立ち枯れたようになっていたのに、雨上がりにはしゃきっと瑞々しい葉を広げており、
「たいしたもんだねぇ」
と母も嬉しそうである。雨もたいしたもんだが、植物もたいしたもんなのだそうだ。
紫陽花は年に2回剪定に適した時期があり、開花が終わった枝を切る夏の剪定、枯れ枝や不要な細枝を切り落とす冬の剪定があるそうで、
「六義園はちゃんと庭師が入っているから見事にやってるねぇ」
と母に説明を受けながら歩いたのは先月のことである。
「ほら、剪定した枝の脇からちゃんと芽が出てるでしょう」
と母は嬉しそうであり、なるほど可愛い新芽が出ているので写真に撮ろうとすると、母は
「ほら、ここを撮って!」
などと枝を持ってカメラに近づけるので、他人が見たら何をやっているのか訝しむような異様な光景である。

onMouseOver
このところ母は茶店でコイの餌を買って、池の端に集まる生き物たちに餌やりをするのを楽しみにしており、コイやカメはもちろん、おこぼれを狙うカラスやハトやスズメからも熱狂的な歓迎をうける。
池の中で口を開けて餌が飛んでくるのを待つ巨大コイ、空中でキャッチして見事に餌を横取りするカラス、浅ましく餌を奪い合うハト、ハトの隙をついて餌を奪い去るスズメを見て母は大笑いし、それは確実にある種の療法になっている。
一所懸命に餌を追っているのだけれどなかなかありつけず、貪欲なコイに負けまいと必死に餌まで泳いでいくカメたちの仕草はことさら母の心を和ませるらしく、うんと要領の悪いカメを探しては、給餌しようと夢中になったりしている。
日本中そうらしいが、池や沼でミドリガメがどんどん勢力を伸ばし、昔からいたイシガメやクサガメの数が減って絶滅の危機にあるらしい。
六義園の池では、ミドリガメたちに混じって地味で動きの鈍いカメを時折見かけ、もしかすると僅かにイシガメやクサガメが生き残って生息しているのではないかと思ったりする。
「お母さん、ほら地味で要領の悪いカメがいるでしょう?あれは滅び行く在来種のカメかもしれないよ」
と教えたら、判官贔屓の母はもう地味で要領の悪いカメに夢中であり、
「バカッ、イヤッ、そこそこ。あ、またコイに盗られちゃった。よしっ、そこだっ、ああ、やっとひとつ食べた」
などと喧しく、見に来た子どもや外人が横目で見てギョッとしたりしている。

onMouseOver
「ほら今っ、お母さんが餌でおびき出すから写真に撮りな!」
などと大騒ぎするので、またまた他人が見たら何をやっているのか訝しむような異様な光景となる。
餌でカメを誘導するのは容易いのだが、撮影するのは容易でない。
カメたちに比べてコイというのは著しく視力が優れているらしく、小さな餌が水面に落下するのを目の端に捉えると身を翻し、時には宙を飛んで大口を開けて周りの水ごと丸飲みし、水中でゲブッと空気をはき出したりするのである。もっと凄いのは餌ごとカメの頭をくわえて水中に潜ったりするわけで、慌てて手足をバタバタさせるカメには申し訳ないがかなりの爆笑ものである。
一方カメの方は水上に突きだした頭に餌が当たって脇に落ちても気づかなかったりするので、魚眼で全天を見ながら水面に落ちた小さな羽虫も見逃さないコイとは目の構造と能力に相当な差があるのだろう。
そんな大騒ぎで水面が波立ち、手ぶれとピンぼけでネッシーのスクープ写真のようだけれど、地味で要領の悪いカメははたして在来種のカメなのだろうか。

写真上段:夏の剪定を終えた紫陽花
写真下段上:ミドリガメ
写真下段下:在来種ではないかと思っている地味なカメ
[Data:SONY Cyber-shot W1]
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【花の名は…】
大学病院からの帰り道、本郷通り沿いで美しい花を見かけ、母は
「持っていてやるから写真に撮れ」
と言う。

シャッターを押し、
「お母さん、この花の名は」
と聞くと、うーんと唸ってこめかみに手を当て、
「おかしいなぁ、このところ酩酊しているようにものの名前が出て来なくて、ひょっとして精神安定剤の副作用じゃないかなあ」
などという話をする。
2004年 8月
12日 木曜日 5:10:06 AM
[Data:SONY Cyber-shot W1]
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観察日:2004年7月18日
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