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【六義園自然観察……4 春のアオキ】
「春のアオキ」といってもフレッシュマン替え上着二着セールのことではなくて、六義園で一斉に開花する数が最も多い植物である『アオキ』のことである。あらためて六義園に『アオキ』を見に行くと、園内いたるところ『アオキ』だらけである。
『アオキ』はとても馴染み深い。
子どもの頃からいたるところに生えていて、赤い実をもいで女の子ならままごと遊び、男の子なら投げ合って戦争ごっこの遊び道具にもなった。日当たりが悪い場所でもしっかり育ち、一年中青々していて、なんか一年中着た切り雀、古いんだか新しいんだかわからない、不思議な木だった。派手な実をつけるわりには地味であり、いつも日陰からじっとこっちを見ていて、あまり表情を変えないヘンな奴が『アオキ』君だったのである。
『アオキ』君の地味さをいっそう際だたせている特徴の一つが、足元に落ちた葉が真っ黒に変色することであり、押し葉にしても黒くなってしまう。葉を薬用にする場合は火で炙って貼り薬にするらしいのだが、この際も真っ黒になるという。
植物名なのに『アオキ』というと妙に座りが悪いのは、『アオキ』というのがこれまた、わりとよくある苗字だからである。小中高を通じて青木君と青木さんは同級生にいたし、今でもご近所に青木さんがいて、青木さんのお父さんにもお母さんにも会えば挨拶するし、青木さんの息子さんも立派な若者になった。
そういう普通の青木さんに対して、日本固有の植物である『アオキ』は植物図鑑にも載っているようなエライ植物なのであり、相撲取りで言えば当然横綱なのに『青木』という本名で相撲を取り続けているようなものなのである。
輪島は横綱を引退するまで本名の輪島で通してしまったが、北尾や保志は横綱昇進と同時にしこ名を名乗った。輪島は『島』がつくので『山』『川』『海』の多いしこ名に近くて得したと思うのだが、『横綱青木』というのはどうしても違和感があるのだ。

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今年の春は妙に『アオキ』が気になり、調べてみて意外だったのは『アオキ』が雌雄異株の植物であって、赤い実がなるのは雌であり、雌だけ植えても雄から受粉できなければ実がならないということだった。江戸時代に植物好きの偉人さんに連れられて渡欧した『アオキ』さんはお母さんだけだったので現地で実を結ばず、夫婦で子を成す植物であることが解明された後にあらためてお父さんにも迎えが来た、などという逸話があるらしい。

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『アオキ』さんのお父さんをアップにしてみると4本の立派な雄しべがある。四本の雄しべの真ん中に雌しべのあるべき空隙があり、その空隙が「嗚呼、雌しべ!」と叫んでいるようであり、いかにも雌しべ好きそうな性格がうかがえる。で、『アオキ』さんのお母さんをアップにしてみると1本の見事な雌しべが屹立しており、「嗚呼、雄しべ!」と叫んでいるようで、こちらもいかにも雄しべ好きそうで、見ているだけで人間の雄しべも頬が赤らむ。
この青木君と青木さんが愛の結晶である真っ赤な青木さんの息子を育むのであり、青木家というのは地味だけれど、いつも陰日向無く、強い愛の絆で結ばれた日本固有、世界に誇るべき理想の家族像なのかもしれない。
観察日:2004年4月5日
『アオキ』に関する詳しい解説はこちらへ。
青木さんの植物園
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/BotanicalGarden-F.html
佐藤さんの大阪百樹
http://www.ne.jp/asahi/osaka/100ju/index.htm
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