|

|
【今月の栞】
三、四年前に、近所の花屋で、小さな鉄線かずらを買って来て、隣家との境の石垣の根に植えておいた。
そのまわりに年々生い茂る款冬などに負かされるのか、いっこうに大きくもならず、一度も花をつけたことは無かった。
去年の秋の大地震に石垣が崩れ落ちて、そのあたりの草木は無残におしつぶされた。
しかし、不思議につぶされないで助かった鉄線かずらに今度初めて花が咲いた。
それもたった二輪だけ、款冬の葉陰に隠れて咲いているのを見つけた。
地べたにはっているつるを起こして、篠竹を三本石垣に立て掛けたのにそれをからませてやったら、それから幾日もたたないうちに、おもしろいように元気よくつるを延ばし始めた。
少し離れた所に紅うつぎが一本ある。
去年は目ざましい咲き方をして見せたのに、石垣にたたきつぶされて、やっと命だけは取り止めたが、花はただの一輪も咲かなかった。(大正十三年七月、渋柿)
寺田寅彦『柿の種』より |
2006年07月01日(土曜日)の日記
■富士さん山開き
2006年07月04日(火曜日)の日記
【ケアの方舟……22】
食三題
2006年07月04日(火曜日)の日記
■港橋水管橋崩落
2006年07月06日(木曜日)の日記
■彦星の位置
2006年07月07日(金曜日)の日記
■織姫の場所
2006年07月08日(土曜日)の日記
■天の川散歩
2006年07月10日(月曜日)の日記
■目を閉じて犬と遊ぶ
2006年07月11日(火曜日)の日記
■夏と焼酎
2006年07月12日(水曜日)の日記
■砂漠の流れ者
2006年07月13日(木曜日)の日記
■これはパイプではない
2006年07月14日(金曜日)の日記
■かまきり
2006年07月15日(土曜日)の日記
■ひとりって難しい
2006年07月16日(日曜日)の日記
■清水灯ろう流し
2006年07月17日(月曜日)の日記
■山の上の雲
2006年07月18日(火曜日)の日記
■永遠の若いヤツ
2006年07月19日(水曜日)の日記
■鉄路の記憶
2006年07月20日(木曜日)の日記
■開発丸を見て考えたこと
2006年07月21日(金曜日)の日記
■わきゃあないだよ
2006年07月23日(日曜日)の日記
■去年の今日、来年の今日
2006年07月24日(月曜日)の日記
■昭和四十九年秋彼岸
2006年07月26日(水曜日)の日記
■音のある記憶
2006年07月27日(木曜日)の日記
■入江の史跡めぐり……05
「白髭神社」
2006年07月29日(土曜日)の日記
■夏の朝のひと仕事
2006年07月31日(月曜日)の日記
■病院からの眺め

|