電脳六義園通信所管理人 石原雅彦の日日抄

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三好春樹主催・生活とリハビリ研究所サイトの管理日誌です。

2006年02月26日 日曜日
■駒込看板


JR駒込駅名物『駒込看板』が秤を使わずに10円玉と100円玉の重さを量ることに関する話題に更新されていた。
 
ズボンのポケットに手を入れて偶然コインがあったりすると、指で触って額の大小に喜んだりがっかりしたりすることがあるので、きっとそいうのは得意である。早速財布の中の10円玉と100円玉を取り出して器に入れ、目を閉じ1枚ずつつまみ上げて分類したら、1枚の間違いもなくすべての10円玉と100円玉を分類することができた。100円玉の方がかすかに重い。
 
だが待てよと思うのは、最初のうちこそ指で重さを確かめながら分類していたものの、途中から重さとは関係のない要因で分類している自分がいた。触った瞬間100円玉の方が凹凸があって、温度も微かに冷たいのである。

【写真】JR山手線駒込駅の『駒込看板』。
撮影日: 2006.02.20 11:11:25 AM
Panasonic
DMC-FX8

夕食後義父母がぼんやりしているので、
「ねえねえ、おとうさんおかあさん、この10円玉と100円玉のどっちが重いと思う?」
とそれぞれの手のひらに一組のコインを乗せてやったら、義母は左右の手に一枚ずつコインを持って上下し、
「10円玉の方が重い」
と言う。義父は義母の真似をしてから
「10円の方が重いちゃ」
と富山便で言う。義父は最近さまざまな部分に衰えが出始めている気がし、特にさまざまな刺激を感じる力が減退しているようで、家族の話題について来られないと、
「……わからんちゃ!」
などと寂しそうに言う。一所懸命妻の真似をして家族のだんらんに加わろうとする姿がいじらしく、こっちの10円の方が重いと言って100円を持った手を差し出しても、義母のようにやり込めていけないのである。余談だけど。

【写真】文京区本駒込の材木店にある美しい木材置き場の構造。
撮影日: 2006.01.30 4:41:49 PM
KONICA MINOLTA
DiMAGE Z3

76歳の義母は意外なかまわれ方をしてもらってやる気満々で、
「ちょっと待って、違う違う、右手に持った方が必ず重く感じるんだ!」
と言うので、
「なるほど、おかあさんは左右の手が重さを違って感じるんだね。それでは左の手のひらに一枚ずつ10円玉と100円玉を交互にのせてみたらどうかな?」
とさらに突っ込んでかまってやると、嬉しそうに笑って試しながら
「わからん、同じ側の手だと同じ重さのように感じる」
と言う。
 
「なるほど、面白いね。じゃあおかあさん、同じ手のひらに僕が一枚ずつ交互にのせてあげるから目を閉じて重さを感じてみて」
と言ってそうしてみると
「今度はわかる、100円玉の方が少し重い」
と言う。

【写真】江戸時代の大工が使った唸るような造形の墨壺。
撮影日: 2006.01.28 1:47:27 PM
RICOH
Caplio R3

「(人間のすごいところは、一人だと指でさえ重さだけでなく厚みや手触りや温度まで計測して総合的であろうとするところなんだよね。だけど衰えてくるとそれがかえって一つのことだけに集中することができないという弱点になることもあるのかもしれないね。そういう時は上手に人の力を借りることこそが弱点を補う魔法なのかもしれないよ……)」と義母の頑固で意固地になる性格についての戒めを込めた訓話で締めくくろうと思ったら、妻が
「目を閉じて手のひらを出してごらん」
と言う。僕をかまってくれるらしい。
 
「はい、これは?」
「1円」
「正解、じゃあこれは?」
「100円」
「正解、じゃあこれは?」
「500円」
「正解、じゃあこれは?」
「10円」
「ざーんねんでした! 20円でしたっ!」
 
家族の笑いの中で感動する。
 
手のひらが重さだけでなく大きさや過去の記憶や出現予想まで加えて総合的であろうとし始めたが為に、2枚重ねられた倍の重さの10円玉を見抜けなかったのである。素晴らしきかな人間、愚かなり自分、そしてありがとう『駒込看板』。

【資料】
駒込看板原文
駒込看板の成り立ち

【関連する日記】
2005年03月03日 木曜日【時代は変わる

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静岡県清水・神戸家の「太郎」
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