店名…2
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その店名を見たとき、
私は軽いメマイを感じた。
「ばあや」
どうだい、この店名。
なんかゾクゾクしないか?
普通なら
「おばあちゃん」か「ババア」
ではないだろうか。 まあ、これもそう多くはないか… 私の
鋭すぎる直感に
ピーと
感じるものがあった。
ばばあが自分で「ばあや」なんてかわいい名前をつけるだろうか。
つける人がいたら、 それは相当図々しいヤツだろう。
「ばあや」 これはもしかしたらオカマの店じゃないだろうか。
「ばあや」という店名をつける、その感覚がソレ的だと思う。
それも
若いオカマではなく、50年配で肥り気味の…、
そうだな、髪は角刈り風か!?
しゃれた中華や洋風の、いわゆる家庭料理が上手で、冗談好きなママの性格で深夜に は若い男女でにぎわうのだろうな。

そういえば、
ばばあの店には世話になりっぱなし
だったな。
新宿緑苑街の「ノラ」のオババ。
2丁目「びきたん」の鈴木さん。
信濃屋のおばちゃん。
阿佐谷福よしのばば。
…… みんないい店だったし、
好きなばばあたちだった。
合掌。
その扉を開けると、肥ったオカマのかわりに頭にスカーフを巻いたばばあがつまらなそうに、ぽつねんとカウンターに肘をついていた。
70年配の老人がカウンターの奥で、
柿の種をポリポリ
と食っていやがった。
ま、鋭い私の勘もたまには外れることもあるか…。
ビールと塩えんどうとナスのミソいためで切り上げた。
ひさしぶりの塩えんどうはうまかった。
ふつうの「ばあや」とじいやの店だった。


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