店名…1

初めて店に入るときは、
ドキドキするものだ。

あなたは何を基準にしますか?

店構え?

雰囲気?

もちろん、ふところ具合は大事。

永年の鍛えた嗅覚で大波、小波を
乗り切ってきたことでしょう。

未開地に足を一歩踏み入れるわけだから、

料理はうまいだろうか…

ボラれたらどうしよう…

拉致されて、
タイのオカマバーに
売られるかもしれない…

コトバは通じるか…

円は通じるのか?…

もし人食い人種
だったら!……、

まあ、いろいろ考えるわけです。

 

私は、このところ店名が気になっている。

先日行った店が

「すて石」。

すていしだよ!…
す・て・い・し。

いくらなんでも捨て石とは!

自暴自棄というか、どうでもして〜という斜に構えたような、底しれない暗さを私は

感じた。

 

町の灯がとぎれた坂下に「すて石」はあった。

店の2階の多量の洗濯物が外灯に重たく浮かんでいた。

ガラスの引き戸を開けると、

期待どおりにこれが暗い。

捨て石に似合った暗さ(捨て石で明るいほうが不自然か?)。

店は暗いが、女主人は気さくで明るい。

カウンターに丸いすが6〜7脚。

天井には裸電球が3ケ。

ゆらゆらと灯っている。

客もなかなか。

たとえば、S女。

大柄で、サッパリ。S女は、大のねこ好きで、野良の小猫なんかを見つけると、拾って来て里親を探すことが習慣になっているという。

はきだめ(失礼)に鶴たちはいるものだ。

たとえば、トイレ。

「オレは外で済ますぞ…」

と客。私もチョット…

という輩もいるが、私は好きだな。このトイレ。

トイレが捨て石
だった。