写真植字を始める
写研とモリサワ

石井文字

一寸の巾

活版から受け継いだもの
製版カメラ


自動化へ

マイコン

デジタルになってみれば

石井文字

ことの発端は、戦後、諸橋轍次 (1883ー1982) の大漢和辞典の再出版のために字母の制作の依頼が写真植字機研究所に持ち込まれたことでした。 大漢和辞典の編纂は大正の末から始まり昭和18年には第一巻が出版されていたそうですが、その原版は資料もろとも東京大空襲で焼失してしまいました。
大漢和辞典に必要な漢字は膨大な量にのぼります。その漢字の字母が不足していたために出版は困難を極めていたようです。
そしてこれが契機となって石井文字が誕生することになります。 こうして石井茂吉 (1887―1963) による新しい字母の制作が開始され、1年に3巻のペースで出版が進み、5年の歳月をかけて全13巻が完成しました。
この間に制作された字母は47000字に上り、その柔らかく均整の取れた字体は印刷会に新風を送りました。
これだけの字母の制作には、人並みはずれた意志と集中力と不屈の精神を要したことでしょう。それを一人で成し遂げたのですから偉業と言うほかありません。 この業績が評価されて、石井茂吉に菊池寛賞が贈られました。 一枚の文字盤の文字数(269字)から計算すると文字盤の数は170枚余りになります。この中から文字を拾う作業も並大抵のことではなかったでしょう。
このときに一寸の巾式配列が採用されました。この配列は大正時代に種田豊馬が考案したもので、文盲の人がタイプを打てるように文字を意味や読み方に関わりなく構成要素で分割してその形で拾うことができるようにしたものです。 写研本社で文字盤のリストを見せてもらったことがありますが確か14級までありました。(文字の大きさではなく、使用頻度で分けた等級です)
原版は文字の大きさが 6 cm 角くらいだったと思います。
JISだとどのくらいの水準になるのでしょうか。現在のソフトと入力システムを使ってDTPで復刻することを考えると気が遠くなりそうです。

デジタルフォントでこれだけの文字が存在するのかどうかインターネットで検索してみたら、京都大学人文科学研究所のe漢字がありました。ただし、研究用、非営利目的以外には使用が許されていないようです。 大漢和辞典は JIS 漢字コードの制定の際にも参照されました。 漢字コードについて検索してみたところ下のサイトが見つかりました。 週間書体 Watcher の中の JIS X 0208の改正作業 文字コード問題早わかり 2 漢字篇 東京大学漢字プロジェクト 大漢和辞典の値段は、新装普及版(ISBN : 4469031380)がセットで\196,000、
縮刷版の古書でも 7万から15万程です。(1998年4月現在)

   
 
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