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写真植字を始める
写研とモリサワ
石井文字
一寸の巾
活版から受け継いだもの 製版カメラ
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自動化へ
マイコン
デジタルになってみれば
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一寸の巾
写植機が搬入されると当然ながら操作を覚えなければなりませんので写植教室に通うことになりました。
当時の写植教室は山手線の大塚にある写研本社の中にあって2か月間のカリキュラムが組まれていました。
最初に習うのは「一寸の巾」という文字の配列です。一寸の巾といっても寸法のことではありません。イッスンノハバナベブタシンニュウワハコガマエ・・・と下の見出しを丸暗記するのです。
一、寸、ノ、巾、 、 、 、 、刀、ヌ、ク、人、 、ハ、山、 、大、小、女、子、口、言、心、手、弓、ト、片、 、四、目、糸、 、虫、羽、竹、里、辛、車、臼、門、犬、足、馬、骨、日、月、火、水、木、金、土
誰もが最初に覚えてしまうのが“犬(の)足 馬(の)骨”で、その手前が難所です。ここまで来れば後は七曜、もう終わったも同然で、喜びの余り思わず「犬(の)足
馬(の)骨!」と叫んでしまうのですね。電車の中などでは誤解されそうです。
さて、さて、一寸の巾を覚えたところで、それだけで文字が拾えるというわけには行きません。まず部首で引く癖を捨てる必要がありました。
写植機を購入するには、当時としては一大決心が必要でした。もしも仕事がなかったらたちまち路頭に迷うことにもなりかねない、と電話帳で目星をつけて片っ端からダイレクトメールを送りました。その甲斐があって、写植教室に通い始める間もなく仕事が入り、当初はろくに講義も受けられないありさまでした。
そんな状態で初めて受けた仕事でたった一文字が見つからずに半日を費やしていました。台という文字が、さあどこにあるのか解りません。
いつまで探しても解らず、写研の先生に電話で聞いてしまいました。答えはなんと、糸でした。まさか台が糸と関わりがあったなんて思ってもみませんでした。辞書を引くときの先入観を捨てきれなかったのですね。
糸には小見出しとして、
や
がありました。同様に、一の小見出しには工、王、石、示、瓦、耳、豆、酉、雨があります。
このような小見出しや見出しが目的の文字のどの部分を占めるかによって文字が何処にあるかが決まります。
こう書いてくると、一寸の巾方式は凄く難しいものに思われるでしょう。確かに一般的ではありませんが、この方式の長所は、見出しと小見出しを覚えて法則を理解できさえすれば、どんなに難しい文字であろうが、その文字の読み方や意味に関係なく形だけで拾うことができるという点です。
実際、日本語が解らないソ連人の女性オペレータが写研の機械を使って当時のプラウダ紙の日本語版を打っていたということです。
一寸の巾が身についてしまったために、パソコンのキーボードから変換しながら漢字を入力する方法は長い間非常に苦痛でした。
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