饂飩店店頭帰還的釦

 

 

送別の辞

 

 

 もう3年ほど前になるが,長年にわたって公私ともにお世話になった先輩Yさんが定年退職された。
 初めてお会いしたのは30数年前,大学の先輩の結婚式が東京のホテルで開かれ,医療分野の出版社に就職が決まり,大阪から上京したばかりの私もお招きを受けて出席させていただいたのだが,その席でだった。
 その数日後,勤め始めた編集部のすぐそばのデスクにYさんがいるのを見てびっくりしていると,「ぼくも数ヶ月前に中間入社で入ったばかりでね」と照れくさそうに言われたのをよく覚えている。後になって,某社の編集長をしていたが,知人の社長に誘われて管理職として入社した,引き抜かれたらしい……といううわさを聞いた。
 偶然の出会いだったが,これもなにかの縁だったのだろう,お互いに酒好きということもあって,以来30数年にわたって,仕事上だけでなく,プライベートでも家族ぐるみのお付き合いをさせていただいた。
 Yさんとの酒席での付き合いをめぐるエピソードは数多いが,その話題は別の機会に譲って,定年退職をお祝いして,小生とかみさんと3人でささやかな飲み会にお誘いした。そのときに今後のご活躍とご健康を祈って,ちょっとした戯れ文をお送りした。以下はそのときの記念誌の一節である。

 

Y 様

 今年、長年勤められた会社を定年退職され、新たな出発をされるとのこと、心からお祝い申し上げます。
 「無事これ名馬」とか。有為転変の時代を無事に過ごしてこられたのは、ひとえに正直・清廉・実直・温厚・寛容な生き方に、心ならずも精進された賜物でありましょう。
 さてその甲斐あって,今後はもう好き勝手になにをしてもよろしい、というお墨付きをもらったものと解して、今までの「善きオトナ」ぶりを改め、心の欲するままに則を超えて,男たるものの生来の「悪ガキ」ぶりを存分に発揮され、自由奔放なる振る舞いにて、後輩たちの「悪」のお手本となっていただくことを期待しております。今後ともよろしくおつき合いをお願いします。
  ご健康を祈って、養生訓をお送りします。

敬意と親愛をこめて

まだ「善き後輩」 はまボーズ&じゅん 敬白

 

少肉多菜  少食多噛
少塩多酢  少糖多果
少飲多興  少言多謡
少衣多浴  少怒多笑
少車多歩  少煩多眠
少淫多情  少商多益
少才多艶  少善多悪

 

 

(つづく)

 

 

 

饂飩店店頭帰還的釦